[あらすじ] イントレランス(1916/米)
イントレランス(不寛容)の引き起こす悲劇は、古今東西を問わず人の世の常である。古代に繁栄を謳歌していた国・バビロニアが、司祭の裏切りによってペルシャに滅ぼされ、イエス・キリストがローマの手で最期を迎え、16世紀のフランスで新教徒虐殺事件(サン・バルテルミの虐殺)が起こったのも、全てが不寛容の成せるものだった。そして、現代のアメリカでもまた、幸せに暮らしていた女性(メイ・マーシュ)とその夫になる青年(ロバート・ハロン)が、現代のイントレランスによって悲劇に陥っていく…。これら同時に進行する4つのストーリーが、揺りかごを揺らす女性(リリアン・ギッシュ)のショットでつながれている。
当初は『Mother and the Law』というタイトルで、現代のストーリーだけを使った中規模の作品になる予定だった。しかし前作の『国民の創世』が人種差別的であると批判されたため、D・W・グリフィス監督は『Mother and the Law』にさらに3つのストーリーを加え、3時間を超える大作とすることで、不寛容であることの危うさを訴えることにした。
公開当時は4つのストーリーが同時進行する物語の難解さもあって、観客には不評だったという。さらにアメリカが当時第一次大戦に参戦を控えていた時期だったこともあって、「この時節に平和主義的に過ぎる」との批判も受けたとのこと。このため製作会社は大赤字となって解散しただけでなく、バビロニアの大宮殿のセットを取り壊す費用すら捻出できず、この豪華なセットは、その後10年間もハリウッドに廃虚として残っていた。
ちなみに日本では、輸入業者が高額な権利金を払って買い取ったところ、案の定訳が分からず、「どうせ商売になるまい」と、思いきって10円という入場料(当時は芝居の桟敷席が5円もしなかった時代)で帝国劇場で公開すると、この高額な料金のため、かえって話題となり客が集まったという。
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