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[あらすじ] 秋のソナタ(1978/スウェーデン)

まるで紅葉のような書斎にて。「生きることを日日に学ぼう。だが自分が何者か分からぬ点が問題だ。ありのままの自分が愛されると嬉しい。でも、その希望は虚しい」―本棚から、妻エヴァが書いた一冊の本を取り出し、自分が大好きな一節を観客に披露する、牧師である夫ヴィクトル。彼は続ける「私が心から愛していると一度は教えてやりたい。だがその心を伝える言葉が見つからない」。するとエヴァが部屋に入ってくる。世界的に有名なピアニストである実母シャロッテ宛に、今しがた書いた手紙を携えて。その手紙は、母の愛人の死のお悔やみ、そして久しぶりの再会を促すものだった。そう、この母と娘は、もうかれこれ七年近くも会っていなかった―
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やがて母は車を走らせ、やって来た。再会を、どこか芝居がかったように喜ぶ二人。次の公演のための楽譜をいっぱい詰めた鞄を二階に運び、やがて愛人がいかに死を迎えたか語る母シャロッテ(イングリッド・バーグマン)。

しみじみと語り終え、ゆっくりしようとした矢先、「ヘレナが家にいるのよ」、出し抜けに切り出す娘エヴァ(リヴ・ウルマン)。

すると、みるみる顔を曇らせた母は言う「手紙に書いて欲しかったわ」。娘は平静を保って言う「書いてたら、来なかったでしょ」…ヘレナとは一体誰なのか…。

■見どころ

全部で92分の作品だが、ちょうど中盤を過ぎたころ(48分くらい)から、母と娘だけの会話劇となるが、このダイアローグが、まるでボクシングのように凄まじい。二度ほど中断が入るが、それを除いてもなんと35分ほど続く。

すでに「母」になった方、これから「母」になる方、どちらにせよ「娘」だった女性の方、必見…かも。(責任は負えません。)

男性の方は…ただただ固唾を飲んで見守るべし。

■解説

「親子の争いを描いた映画は多いが、母と娘の対立を扱ったものはない」ことを思いついた孤高の人イングマール・ベルイマンの1978年の作品。

母シャロッテを演じたバーグマンは、撮影前から既にガンに冒されていたが、病を押して出演、そしてこの『秋のソナタ』での自分の演技に満足した彼女は「これを最後の映画にしたい」と宣言、実際その通りこれが彼女の遺作となった。

一般的な批評家の間では、娘を演じたウルマンの方が評価が高いが、バーグマンは本作でアカデミー主演女優賞候補に挙がり、またNY批評家協会賞では三度目の主演女優賞を受賞している(ベルイマンは脚本賞)。作品はゴールデン・グローブで外国映画賞受賞。

(評価:★4)

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このあらすじを気に入った人達 (2 人)coma ina

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