最後に嘘発見器の針が真っ直ぐになるのだけれど、この時の主人公の表情を見ると、以前の無表情とはまったく違った生き生きとした決意に満ちている。この針の動きは、彼が自分の感情を殺したのではなく、よく武道で言う所の「平常心」の状態になったことを表しているのだと思う。

作品中のアクションのオプションは、娯楽映画のお約束だとして置いておいて、それとは少し外れて真面目に考えると、「戦争」を無くし、「平和」を作るためには、確かに過剰な怒りや恐怖は排除すべきものかもしれない。けれど、そのために、無感覚なロボット人間を作るのではなく、人間が、生来持っているはずの理性をともなった「平常心」によって、平和はもたらされるべきものなのではないか。

この映画はそんなメッセージを込めて、創られている･･･かどうかはかなり定かではない。