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[コメント] 新仁義なき戦い 謀殺(2003/日)

仁義なきにしもあらず、いやむしろありすぎちゃって困っちゃう戦い。俺はこの跡目襲名に意義を唱えずにはいられない。
町田

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







<絶対評価> まずギャグが空疎。笑いをとるところで笑いがとれていない。惹句にも使っている夏木マリの台詞も重複はウザイし恥ずかしい。スカパラを起用した意味が解らない。テーマも殆ど使ってないではないか。スタッフ・キャスト紹介をオープニングに回すくらいの融通を利かせなさい。スカパラもスカパラであの禍禍しいテーマを軽快なスカの2ビートになんかしやがって馬鹿かテメーら。スカパラは作曲とメロディセンスは皆無だけどアレンジだけは抜群!と思っていたが映画音楽担当するにはまだ10年早いね、ケッってな出来。またラストだが渡辺謙のケツなど誰が見たいかっての。あのシーンはどう考えても正面から仰角で捉えるべき。チン●だけ何かで隠してさ。

バイオレンス描写には光るものが在った。役者の存在感も中々。特に良かったのは渡辺謙、伊原剛、南野陽子、夏木マリ、石橋連司の五人で、将来性を感じたのは高橋克典、坂本なんたら。(死ねテメーと思ったのは高知某のキレ演技と稔侍の若女房。)こういう役者をコントロールし得ているとは到底思えないが新人監督の作品としては良く出来ていると思う。ペキンパを意識したと思われる蝉とか蟻とかのカットは若造らしい陳腐なセンスだがまぁ許してあげよう。

新旧、知恵と暴力、仁義と謀略、この辺の絡ませ方は良かった。高橋演ずる主人公が経済やくざで、また癌に犯されているという設定は現代的なリアリティに溢れていて本作の最大の魅力と云えよう。また高橋が癌に犯されている事実を渡辺にも南野にも打ち明けなかったのは実に行儀の良い、評価出来る美点である。

<相対評価> けにろんさんのコメントにあるが渡辺謙が松方弘樹を、小林稔侍が(下手だが)金子信雄を意識しているのは明らか。本家幹部を演じた隆大介も成田三樹夫に通ずるニヒルな怪演をみせる。そんな彼らの演ずる権力闘争は確かに『代理戦争』〜『頂上作戦』を彷彿とさせるし、老獪な悪党が勝ち残る苦々しいラストは本家『仁義なき戦い』を正しく継承しているように見える。だがしかし。

マイルドな高橋克典の資質は明らかに鶴田浩二的なヒロイズムに適しており、というかそれしか出来ないから、アンチ・ヒロイズムを旨とする本家「仁義なき戦い」の生んだ主人公像とは到底相容れないのである。

高橋の経済やくざと渡辺の暴力やくざが相反する個性を持ちながらも互いに引かれ合い、外部からの謀略によって次第に離別していくという図式的展開は確かに笠原和夫的ではあるが、それは「仁義なき戦い」というよりはむしろギリシア悲劇に例えられた山下耕作とのコンビ作「総長賭博」を彷彿とさせる義理人情ワールドで、だから悪いというわけではないが、それによって統一感が損なわれ、本家のような革命性が消し飛んでしまっているのは如何にも残念である。

同じような展開を辿りながらヒロイズムに溺れるこの無かった三池崇版『新・仁義の墓場』の方がよっぽど革命的で本家「仁義なき戦い」、というか深作欣二の意匠を受け継いだ傑作であったことを踏まえれば、俺はこの跡目襲名に意義を唱えずにはいられない。本作のタイトルは冠無しの『謀殺』が妥当と云えよう。

<総合評価> この映画は最近の映画としては充分及第点に達している。フツーに採点すればギリギリ3点である。だがこういう風に金看板を安っぽく使われるとどうしても反抗心が頭をもたげる。だから厳しく2点とする。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)Myurakz[*] sawa:38[*] けにろん[*]

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