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[コメント] 奇跡の海(1996/デンマーク=スウェーデン=仏=オランダ=ノルウェー=アイスランド)

やってることは「ダンサーインザダーク」と同じ。ロマン主義者トリアーの頑なな暴走。
tomcot

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







非常に悲劇的な物語であるがしかし、ベスの死によってしか、ヤンの回復は望めなかったとすれば、彼女の死は彼女自身にとっては決して悲劇ではない。ベスは、たとえ自分が死ぬべき運命にあっても、それがヤンの回復という願いが叶うためであれば、自分だけが生き残るという選択よりもよっぽど納得がいっただろうし、結果としてヤンの身体は回復したのだから、これはハッピーエンドとも言える。

破滅型のロマン主義は、絶望ではなく希望をあとに残さなければならない。そうでなければ、単にナイーブで盲目な態度でしかなくなってしまうから。

ベスにとっての本当の悲劇は、彼女の方法や態度が村の社会に理解されなかったことにある。彼女のことを誰よりも理解していたのは、最後に祝福の鐘を鳴らした海であり、それは社会の最も対極にある「剥き出しの自然」であった。社会から追い出された者にとっては、自然こそが最も近く、最も理解し合える存在となる。

自然を真理の側として描く。これまたロマン主義的。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)jollyjoker[*] いくけん Pino☆[*]

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