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[コメント] ジャコ萬と鉄(1949/日)

瀬川順一の撮影は屋外シーンの記録映画的な部分で素晴らしい効果を上げている。光の捉え方が絶妙だ。それに対して、谷口千吉の演出はどうにも一貫性に欠ける。
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 特に屋内シーンでのカメラポジションとカッティングがコントロールできていないように思う。結果的にとてもルックがちぐはぐな映画になってしまっている。

 後半までは、二人の死んだはずの男、ジャコ万(月形龍之介)と鉄(三船敏郎)が二人そろって実に魅力的だ。特に宴会シーンでの三船の奇妙奇天烈な歌にはひっくり返りそうなくらい吃驚した。この映画はこのシーンがあるだけで永遠に語り継がれるだろう。また、ここでも進藤英太郎の存在が良い。

 しかし、ジャコ万の「狙い」の浅はかな設定とラストの改心だとか、鉄と教会のオルガン奏者(久我美子。この頃の彼女は可愛くない!)の描き方や、「大学」と呼ばれるひ弱な労働者の人物設定等々、もう幼稚極まりない。谷口に責任があるのか黒澤に責任があるのか俄には断定できないけれど、黒澤らしい浅薄さだと思ってしまう。

(評価:★3)

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