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[コメント] ダーティハリー(1971/米)

はっきり云ってスカスカな脚本。ハリーにしてもスコーピオにしても、周到さや緻密さのカケラもなくサスペンス不在。でも、そんなこと映画の面白さとはまったく関係ないことを痛感する。
緑雨

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







オープニングシーン、サンフランシスコの大パノラマと、ライフルのスコープ越しに狙いを定められる水着美女。マクロとミクロの視点の対比で強烈に印象付けられる空間性。そしてハリー・キャラハン登場。プールサイドから銃撃現場であるビル屋上を見定め、移動。無表情に、ゆっくりと現場を見回り、発見した薬莢をボールペンにひっかけて拾い上げる。ここまで一切台詞なし。佇まいだけで観るものを痺れさせる。

佇まいと云えば、クライマックス、スコーピオにジャックされたスクールバスのウィンドウ越しに、ガード上に立つハリーの姿が捉えられる。感づいたスコーピオの表情が変わる。微動だにしないハリー。ぞくぞくするような感情を生む、この構図の格好の良さ。

中盤、深夜の捜査シークエンスで、ハリーが覗きと間違えられてボコられたり、飛び降り自殺未遂者の救出に突如巻き込まれたり、望遠鏡越しの全裸女に気を奪われて犯人を見失いかけたり、といった件り。本筋と絡まないコミカルなエピソードにも関わらず、あえてリズムに緩急をつけず、映画の最初から最後まで淡々としたテンションを変えないあたりも実に面白い。

勿論この他、スタジアムからの大ズームアウト、ホットドッグをモグモグと食いながらの44マグナムぶっ放し…この映画の面白さを挙げていったらキリがない。

(評価:★4)

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