[コメント] 続拝啓天皇陛下様(1964/日)
時代の幸運と不運。軽蔑される「チャンコロ」と嫉妬される「第三国人」。犬が結びつけた令夫人と、米兵に引き離されたパンパン。大便にまみれた「ウンコ屋」と戦後なお高貴であり続ける「天皇陛下」。…それでも、生きていかなければならないのだ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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サイゴンでもう一旗あげようとした朋友は如何なる運命を辿ったのだろう。前作のヤマショウは戦後の混乱を見ずに天国へ旅立ったが、今回の善助は天皇の恩寵のなかで夢見続けることを許されずに、現実の残酷さを舐めながら、それでも死ぬことに見放された男だ。もはやここに、前作の甘美なファンタジーの影はない。
確かにこれは、前作のヒットを受け継いで造られた二番煎じの失敗作なのだろう。だが野村芳太郎は、前作がヒットしようがしまいがこれを造らずにはおれなかったことだろう。ウンコ屋善助はヤマショウのような「幸運な少数」ではない。天皇を慕いながら彼が何もしてくれないことも知っている、あの当時の多数の敗北者たちの代弁者なのだから。そう、みんな天皇の赤子と認めてもらえないことを知りつつ、生き続けていったのだ。善助は、あるいはまだ生きているかもしれない…。
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