[コメント] ザ・バニシング 消失(1988/仏=オランダ)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
はっきり覚えていないがこのオチって都市伝説とか怪談とかでなんかすでに知っていた。もしかしたら「何かの映画かネットで見たことがある話なんだけど…」と誰かに聞いたことがあって、それがズバリこの作品だったのかも知れないし、こういう結末の日本の神隠しや、アメリカの人さらいやヒッチハイカーのフォークロアが実際にあるのかも知れない。
サスペンスの行方不明ものっていうのは、物語の「なぜ」だけでなく、その物語上の登場人物と同じく「どこ」という謎も共有するので、サスペンスの強度が強いのだけど、真相がわかってくるとその2つのサスペンスが一気に冷めていくので、映画のようなストーリー構造だと、クライマックスは行方不明者の奪回とか、誘拐犯からの脱出とか、別の見せ場を用意することになり、当初のサスペンス要素とは違ったサスペンスを味わうことになってしまう場合がほとんどだと思う。その点本作は最後まで「どこ」「なぜ」で終わらせていくところが巧みだったと思う。結局最初の彼女のほうがどうされたかもわからないし、犯人の目的も最初から彼氏のほうがターゲットだったのかよくわからないうちに終わり観客に不安を残させていくのも上手いと思う。
ただ「最後助けにいった彼氏が気づいたら●●の中だったんだよ」「キャー」で終わる話でしかないので(これって、その話最初に聞いた奴って、誰から聞いたんだよってツッこむやつだよね)、残りはすべて蛇足感しかないという。オチ以外のキャラクターの造型や映像での見せ場や緊張感の創出がほとんどないのが、この作品にとってマイナスなのか、むしろこの平板さがプラスなのか、どっちだっただろう?
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (3 人) | [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。