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[コメント] 悪魔のいけにえ(1974/米)

昼寝で見る悪夢。「バカとハサミは」ならぬ、「狂気と凶器は」あるいは「クズとチェーンソーは」使い様。
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悪夢は、大概、夜見るものだが、白昼の悪夢の恐怖には及ばない。夜ならば、目が覚めれば、朝であり、また《日常》に復帰できるが、昼間は違う。恐怖は持続し、しかも、さらなる闇が迫ってこようとしている。逃れる場所がない。

たとえば、「白昼の通り魔」。日常を《日常》たらしめる陽の光が射す場所で、《非日常》である狂気が登場すると、その恐ろしさは尋常ならざるものがある。《日常》であるべき《日常》が、《非日常》になりえるという可能性、《日常》の脆弱性を、まざまざと感じさせるのだ。

そのじりじりと切迫する恐怖感が、この映画にはある。恐怖感と痛覚を、絶え間なく刺激する、まさに、白昼の悪夢だ。明けても明けぬ悪夢。

薄明のラスト、その詩的な美しさは、ピエル・パオロ・パゾリーニの『アポロンの地獄』の「逆光の虐殺」シーンと双璧。

これからご覧になる方は、是非、昼間に鑑賞されることをお薦めする。画面から目を逸らし見る、窓に射す陽の光にさえ、悪寒を感ずることだろう。そして、夜はやってくる。

追記1:今日の今日まで、この映画の採点を忘れてました。というのも、アメリカで鑑賞したため、まさか、『The Texas Chain Saw Massacre』というタイトルが、『悪魔のいけにえ』になるとは思いもよらなかったもので。

追記2:コメント中の「クズ」は、[copyright(c)ペンクロフ様]です。

〔★4.5〕

[video/date unknown/2]■[review:3.30.02up]

(評価:★4)

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