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[コメント] リクルート(2003/米)

「君たちは善と悪があることを知っていて、善を選んだんだ」と言った後で「全てを信じるな」と言い切る教官パチーノ。なるほど。これがCIAが矛盾をはらんでる理由だな。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 CIAのスポークスマンをスタッフに起用し、これまで謎に包まれていたCIAの訓練にスポットを当てたサスペンス。この訓練が本当なのかどうかは分からないのだけど(笑)、なかなか興味深いものがある。本当にこんな訓練してるんだろうか?

 ストーリーそのものはベタベタのサスペンス作品なんだけど、私はかなり楽しめた。大体私は劇場で観る場合とビデオで観る場合で全く観方が変わってしまうらしく、ビデオで観ると、大抵のどんでん返しは分かってしまうのだが、これが劇場で観た場合は全く逆に謎とかどんでんがえしとかにすぐひっかかってしまう。本作でもその通りで(笑)、ここまで見え見えのストーリー展開に、見事に騙されてしまった。悔しいけど、これが本来の映画の楽しみ方なんだろう(負け惜しみか?)。

 設定的に見てもアラが目立つのは事実。特に中盤の追跡シーンなんかは、どう考えてもCIAのやり方じゃないのだが(いくらNOCだからって言っても、まさか追跡をチーム無しの単独でやるなんて馬鹿じゃん)、それも考えてみると、逆にこの素人臭い追跡シーンが、実はオチの伏線になってたし、それにNOCなり立てだから、どうしても素人臭いのは仕方ない。と言う説明も付くしね。

 でも、この作品で一番重要なのはそんなところじゃなくて、キャラクターにこそある。若手実力派俳優としてのファレルが魅力たっぷりに演じているし、対するパチーノがクールに演じていたのが、やっぱり一番の売りだろう。これだけで充分。

 それでも…やっぱり見えてしまう物語のアラ…

 「アイス9」と言うプログラムをコピーしようとしてるレイラの前に“偶然”現れるジェイムズはまあ良いとして、そこで読んでる本が「スローターハウス5」って…馬鹿か?格好付けたつもりかも知れないけど、全然クールじゃねえ。どう考えても怪しさ大爆発だろうが!(蛇足的に説明すると、「アイス9」はカート=ヴォネガットJrの作品「猫のゆりかご」に出てくるウィルスの名前で、「スローターハウス5」はヴォネガット作品の一作)。

 それと、最後に「俺を現場から外しやがって〜」と絶叫するパチーノ。あんた、もう60越してるだろ。当然じゃないの?

 後、キャッチコピーの「信じるな――自分の《五感》でさえも」ってのは、そのまんまネタバレになってる…

 …良い部分と悪い部分が複雑に交錯してるなあ。

(評価:★3)

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