[コメント] 邂逅(1939/米)
観客の感情を自在に操るクライマックスの巧みな構成、演出は実に素晴らしい。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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終盤、事故後初めての外出となるダンが、芝居小屋でボワイエと再会して別れるシーンでは、客席係が大きな車椅子を押してくる。次に二人が出会うときは、ボワイエがこの車椅子を見ることでハッピーエンドになるだろう、と観るものは自然とそう思ってしまう。
このキーアイテムが、ショールを経て絵へとすりかわるという、クリスマスに相応しい演出だけでもうまいのに、ボワイエがその絵だけですべてを察知してしまうのが凄いところ。そこに至るまで、観客は散々やきもきさせられ、ボワイエの気持ちの先へ先へと注意が向いたところで、最後の王手で彼に見事に上がられてしまう。
ボワイエは、あえて車椅子を発見したり、もしくはダンのひざ掛けを取り去ったりする必要はないのだ。車椅子の女性にあの絵を売ったという画廊からの伝聞だけで事は足りるのである。だがボワイエの独り言が断片的なので、その表情で感覚的にはわかっても、理屈の上で合点がいくのは一拍遅れて、エンドマークが出てから、ひょっとすると客電が点いてからかもしれない。この遅延のおかげで、私たちは感動を我が物として味わう贅沢を与えられるのだ。
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