[コメント] 解夏(2003/日)
暗黒ではなく、乳白色の海に溶けてゆく総ての風景。それを単なる悲劇的な難病映画の一シーンとして済ませなかったのは、ひとえに石田ゆり子の天性の明るさ、暖かさだろう。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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ストーリーは主人公の失明に至る軌跡であり、極めて単純である。長崎の名所めぐりの宣伝映画とまではなっていないにしろ、この風景を剥ぎ取ってしまったらずいぶんと貧相な映画になったろう、と皮相的な見方をしてしまったのも事実である。
そんな物語を石田が救っている。病魔への苛立ちから撥ね付けてしまった彼女を、大沢が後ろから抱きかかえ、「俺の目になってくれ」と告げるシーンでの彼女。ラスト、乳白色の霧のなかに涙しつつ微笑み、呑まれてゆく彼女。判っていても鳥肌が走る。決して演技力が高いとは言えない彼女だが、その限りない優しさの発露が映画を暖かいものにしている。
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