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[コメント] 真珠の耳飾りの少女(2003/英=ルクセンブルク)

色使いといい、構図といい、一瞬一瞬が絵画調なので、ため息つきながらの鑑賞となった。
スパルタのキツネ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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特に印象的なのは、グリートがメイドを首になり屋敷を出て行く際、ドア向こうで掃除をしていたメイド仲間のタンネケ(ジョアンナ・スキャンラン)の手がとまり、2人が向き合ったところ。最初はタンネケにフォーカスを合わせ、タンネケの手が動き出すとともにグリートにフォーカスを変えるカメラワークは、2枚の重なった絵を見ているようでとっても印象的だった。2人の仲は良かったはずなのに、お別れの会話を無しとしたのは"この映像"に注目させたいとの意図なのだろう。 あと、グリートとピーターの2人が並木を歩くワンシーンだけ黄金色とも言える色調になったが、これが映画としての「真珠」にあたる部分だったんだと思う。

また、主題となった「真珠の耳飾の少女」の絵画自体は、作中では意識して描写していないようだった。グリート(スカーレット・ヨハンソン)が絵の感想について「心の中まで描いている」とフェルメールに言ったところでは、普通ならそこでその絵を映すところだが、そこでは抑えて、妻の嫉妬の対象として切り刻まれそうになるところではじめてその絵を出し、スクリーン中央の絵画「真珠の耳飾の少女」のスローなズームアップで終わる、そんな余韻を残す演出もうまいと思った。

意地の悪い娘。あの子、ほとんどしゃべっていないのにあれだけ表現できるのは凄い。鑑賞しながらどこかで見覚えがあると思っていたが、『ミツバチのささやき』のイザベルに似てるのかな? とも思ったが、いやいやあの表情は『アザーズ』で映画初出演ながら、ニコール・キッドマンの子役で子供とは思えない名演をみせたアラキナ・マンであることに思いあたり納得した。

あと意外なことにシリアスな作品にあまり出演していないコリン・ファースは、予想通りのはまり役でした。

(評価:★5)

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