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[コメント] ドラムライン(2002/米)

主人公がとことん捻くれた野郎なのに感情移入できる不思議。ドラムシーンは熱いけど、映画としては熱くない。点数はドラムシーンの凄さと、パフォーマンス中の出演者の目の熱さに 2004年8月7日劇場鑑賞
ねこすけ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ドラムシーンは確かにもの凄い迫力で予告編の謳い文句通り、ハーフタイムはもう一つの戦場だ。だけど、何故か俺にはこのパフォーマンスシーンが異常に長く感じた。そして、映画も何か長く感じた。上映時間は2時間。割と良いテンポで展開されていて、特に削るべき箇所は見当たらない。コレ言っちゃおしまいなのかもしれないけど、俺としてはパフォーマンスシーンこそ、もっと削れたのではないだろうか?と思うのだけど・・・

主人公は(劇中の描写・台詞だけからでは判断できないけど)NYのチンピラ、貧困層なのかもしれない。一番になりたい、と言う意識が強く、ゆえに傲慢。そんな、チームワークを無視して自己中心的に暴走するデヴォン(ニック・キャノン)を主役に据え、且つ物語の4分の3はそのままのキャラクターで突っ走らせる荒業をしながらも、観客に感情移入させると言うのは中々凄いと思った。

だけど、物語として熱さが足りない。主人公があまりに才能がありすぎるせいか、青春スポーツモノ(これはもはやスポーツだよね?)に無くてはならない「死ぬほどの努力」が無い。だから、結果として、クライマックスの大パフォーマンスでは、パフォーマンス単体の興奮しか存在せず、映画的興奮に欠けてしまう。コレってすっげーもったいない事だと思う。

クライマックス直前にキャプテンと主人公が対立し、キャプテンはすんなりと自らの負けを認め「お前が最高のドラマーだ」と言う(その後、「一人で叩いてろ。チームワークも出来ないなら最高でも最低だ」みたいに説教して改心しちゃうけどね)。

俺、こういう空気が映画全体に流れていて、どうも好きになりきれない。別に主人公が圧倒的に才能豊かで傲慢でも構わないんだけど、例えば皆が遊んでいる合間にもドラムの練習してたりと、天から授かった才能以上に凄い所もある、みたいに描いた方がいいと思うのだけどなぁ。

例えば、オープニングの、バンドに入る為の猛訓練並の凄さをクライマックス直前に持ってくるとか、そういう演出して欲しい。それとか、試合前のミーティングとかでシメの言葉言うシーンとか?そーゆーので客の期待を煽っておいて、パフォーマンスで爆発させる。そいつが演出ってモノじゃないのか?

パフォーマンスシーンだけでも十分迫力あるけど、俺はそれが一人歩きしているだけにしか見えなくて、正直言って映画としては冗長だと思う。

ただ、ドラムライン対決で感情を前面に押し出してのパフォーマンスは確かに熱い。個人的にはラストの決勝戦よりも、同窓会での乱闘騒ぎの際のパフォーマンスの方が熱かった気もしましたが・・・なんか、変に小細工せずにストレートだったので。

まぁケチつけまくってるけど、割と面白かったんだけどね。

どうでもいいけど、なんで同点決勝の場合はドラムラインで決勝つけるんですかね?別にドラムラインじゃなくてもいいのでは?とか思うけど。まぁいっか。

(評価:★4)

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