[コメント] キューティーハニー(2004/日)
問題は庵野秀明が、カメラのレンズを透して実景をフィルムに焼き付けるという行為に執着を持っていないということ、そして人間の感情と肉体の関係に対して通り一遍の関心しかなく役者を素材としてしか考えていないということに尽きる。
被写体を撮るという実写行為と対象を描くというアニメーションとの関係や、人間が動くという能動行為とCGによって対象を補うという作業のかかわりにおいて、何らかの志を持ったうえで果敢な実験を行い失敗したのならまだしも、作品のつまらなさの原因がそれ以前にあることに深く失望した。
30年近く前に観た大林宣彦の『HOUSE ハウス』が与えた心地よい違和感を含んだ衝撃の意味が、今ごろになって分かってきた気がする。この映画は技術革新に反比例して、進歩どころか後退している。
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