コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 三人の名付親(1948/米)

スクリーンというキャンパスの上に、光で描かれた美しい一つの宗教画の名作。砂埃で唱えられる、命への愛という賛美歌。
uyo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







保安官の庭、駅で待つ女性達が持つ花束、テーブルの上にある花、など、三人が砂漠に入るシーンとのコントラストをつけるかのように、出だしでは美しい花たちが目に付きます。赤い花が印象的なのは、クリスマスカラーだからでしょうか。特に信心のない自分でも、一つの小さな命を護ろうとする行為には、素直に心打たれます。

たとえフィクションのストーリー上の事であっても、赤ん坊に無用な苦しみを与えるような事はすまいと言う、監督のポリシーは本当に嬉しいです。お母さんが用意したバスケットケース!ミルクと服と育児書!ロケのシーンでは、あきらかに本物の赤ん坊ではない、と言う撮り方も、かえって安心します。そしてアップの時の本物のあかちゃんの、存在そのもののかわいらしさといったら!(悶絶)

砂漠の紋様、空に浮かぶ雲、砂嵐が描く波、馬達のシルエット、ランプの光に照らされる顔、馬車の幌から覗く夕暮れの色、「この美しい世界に生まれてきて良かったー」と思わされる名作です。思えばクリスマスというのは、誕生日。誕生日というのは、「(私やあなたが)生まれてきた事への感謝」と言う事なのではないでしょうか。

(評価:★5)

投票

このコメントを気に入った人達 (5 人)ナム太郎[*] ジェリー[*] りかちゅ[*] tredair[*] くたー[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。