[コメント] 深呼吸の必要(2004/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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けっこう期待はしてました。ここのレビューも評価高いし、舞台が両親の実家のある宮古島だし、そしてなにより『ホテル・ハイビスカス』のレビューに書いたけど‘沖縄でなくてもいい話が沖縄を舞台にすることで独特の空気と味わいをだしてくれる映画’を熱望していたので『ナビィの恋』+『ブレックファスト・クラブ』みたいなストーリーにかなり期待してしまっていました。でも期待が大きかった分あえてムキになって言わせてもらいます。まずとにかく沖縄の匂いがしない、しなくてもいいがあまりに無味無臭すぎて、まるでTVの2時間ドラマみたいだった。『パラダイスビュー』の高嶺剛の沖縄は沖縄人が観てもむせかえるほどの匂いがしたし、『ナビィの恋』の中江裕司の沖縄はイメージの沖縄と現実の沖縄の匂いが絶妙のブレンドだったし、そして『ソナチネ』の北野武の沖縄はあくまで北野武の匂いがした。とにかく映像は沖縄独特の家屋や路地を映してはいるがなんの匂いも空気も感じられない。風の音、虫の鳴き声、砂利を踏む音など全ての自然の音が会話とBGMで全て消されてしまっているし、おじいとおばあの沖縄独特の間合いも全体が不自然で浮いてしまっていた。主人公のファーストカットが船に乗って島にやってくるという『ナビィの恋』と完全にかぶっているが決定的に違うのはジリジリした暑さや海風の心地よさが全く感じられないことだ。設定が夏じゃないからそんなに暑さの表現はいらないのかもしれないが登場人物がみんな暑そうなのだからやっぱり必要なんじゃないかな。とにかくいろいろ残念だ。
それからこれは沖縄と関係ないが登場人物達の抱えている悩みがありきたりできれい事すぎて全然同情できなかった。小児外科医が子供の死でドロップアウトするなんてあり得るだろうか?どうせなら自分の責任で死なせてしまったぐらいの重い十字架を背負ってくれないと同情できない。『ブレックファスト・クラブ』はジョン・ヒューズが偶然生んだ奇跡の青春映画の傑作(と思っている。)だが、悩みを背負った見ず知らずの若者が偶然集まって徐々に心の鎖がほどかれていきその過程と最終的な団結感が大変気持ちいいというテーマ的なものは一緒のはずなのにその過程の打ち解けていく描写が唐突すぎるし、最後に心が通じ合った様を写真一枚で終わらせてしまうし役者はみんないい味だしてるのにとにかくなにもかももったいない。とかなりムキになっていますが期待していただけに大変残念でした(でも3点)。
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