コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ブラザーフッド(2004/韓国)

戦争の災厄がすべて一兄弟の身に降りかかるようなベタベタのご都合主義のストーリーだが、朝鮮戦争と言えば「朝鮮特需」としか学校で教わらなかった身としては、勃発から38度線の攻防まで絵巻物のようにを一つの映画に描ききった力技をこそ評価したい。
ジョー・チップ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「朝鮮特需」・・・。『キューポラのある街』で東野英二郎がまた戦争が起これば仕事が増えて儲かるみたいなことを言って吉永小百合に批判されるシーンがあったが、この戦争による巨額の需要で日本の産業は敗戦の痛手から息を吹き返し、高度経済成長の道を歩むことになったのは確かである。

所詮、「対岸の火事」だったのか、ベトナム戦争については多く語られ映画にもなったが、朝鮮戦争の実態について語られることはあまりなかった。しかし日本の経済的繁栄にこれほど密接な関係がある戦争について知らなさ過ぎたと思う。この映画を足がかりに、朝鮮戦争に関するさまざまな検証がすすめばと思う。

冒頭の路面電車の走る戦前の街の様子も興味深かったが、それぞれの戦闘シーンの迫力、全員「必勝」のハチマキをした若者が乗る汽車の異様さ、文革まがいの「赤色分子」摘発など、初めから終わりまで画面のテンションが落ちないのがすごい。 ただ、戦闘シーンについてはコマ抜き(正確に何と言うのか知らないが『プライベート・ライアン』で使用していたアレ)の撮影が多過ぎて目が疲れる。しかも何が起こっているかよく分からなくなってしまうので逆効果だ。

兄の最後の行動があまりにも唐突というか切り替わりが早すぎて、まさにご都合主義だと思ったが、同じ民族同士が戦う戦場の混沌ぶりを象徴したかったのだろうと好意的に理解することにした。

また私は基本的に「回想形式」は好きではないのだが、今回の場合ラストの万年筆で現在と過去との融合に成功していて、素直に感動できた。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (5 人)たろ[*] 草月 JKF[*] ボビチタ IN4MATION[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。