[コメント] GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊(1995/日)
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「例えばアニメーションにすると、こんな解釈もできますねぇ。ま、表面を舐めると、この映画の感じかな。」って事ぐらいしか思いつかん。「機械の中の幽霊」を今更説明されてもなぁ。
第一、皆が読んだ「機械の中の幽霊」の勝手な解釈を説明する前に、アニメに出てくる擬体活動のためのエネルギー源を説明して欲しい。見ている間、ずっ〜っと、「擬体バリバリ奴らのエネルギー源って何だ?」なんてことが気になって、細かいストーリーはあんまり覚えてないわ。物喰っているシーンがないし、全然近未来らしくないもんで。なぜなら、高密度ネットワークに分散して存在するエージェント(ミンスキーの「心の社会」では、こう呼ぶ)が、輻輳して一つの意志を獲得するなんてことは、現実社会でも普通に起こってるからなぁ。ただ、その意志の活動できる場が、電子的な開放系なのか生身の体を必要とする現実社会なのかの違いだけだ。
しかし、そのことを大衆化したかも知れないこのアニメ、結局の落としどころが警察組織対犯罪者の恋愛って構図が、何とも陳腐で・・・。
どなたかコメントされていたが、人工知能や知性・自己認知などの科学と、それらのネットワークにおける存在(分散認知)とか、それらが持つ哲学的な意味を掘り下げた人は、ヒューバート・ドレイファスやマービン・ミンスキーなど、'80年代以降から一杯いるわけで、この程度の映画で「ネット」とか「バーチャル」とか言うのは、ちょっと気恥ずかしい(原作者は、それらのネタをパクって、チチデカで若く可愛いが見境無く男に言い寄らず芯のあって優しい・・・つまり男の勝手な妄想が生み出した女と、根拠薄弱なメカ書きたいだけじゃんか・・・と思う)。
ARPAの先駆者達は、既に80年代後半から「心の社会」へとその挑戦の矛先を向けている現在、「ネットワーク社会発展系の中のフランケンシュタイン」ってタイトル替えた方が良いんじゃないか?
大体、脳みそに直結するコネクタを4つも持っていながら、なんで、触手を一杯出してキーボードにタッチする必要があるわけよ?、ダイレクト結線すればいいじゃんか。要するにアイデアを支える合理性は何もなく(トヨタの車みたいだ)、見せたいだけ・説明したいだけなわけで、翻って、せっかくアニメーションにするなら、もっとキャラクターやメカの細部の書込や描写、「切り出しても様になる絵」の連続など、こだわって意味のあるところは他に一杯あるだろうに。
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