[コメント] エターナル・サンシャイン(2004/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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あまり恋愛映画というものは見ない。タイタニックもゴーストもプリティーウーマンも嫌いだ。一方的に私的な事象を見せつけられて、どうだと言われても正直困ってしまう。男女は100組あったら100通りだし、リアルな恋愛は説明されても面白くないものだ。
相手を思うばかりに不安になり混乱し、やってはいけないことをやったり、言ってはいけないことを言ったり。後になってあの時分かっていたのにどうしてやったのかという後悔だけが自分を責める。「仮に若くなれたとしても恋愛だけは2度とゴメンだ。もうあんなに辛くて苦しい体験は。」と年老いた劇作家は言った。恋愛とはそれだけ時間とパワーと精神的重圧が伴う。
映画を初見後、DVDで数回鑑賞している。ジム・キャリーは本当につまらない普通の男じゃないかと思うほどの名演だし、ケイト・ウィンスレットの自己主張の強いムッチリ30女像にもリアルに好感が持てる。また、何より映画全体に漂う叙情が好きだ。「不安」と「希望」が胸に響く。別れた彼女との記憶を無くすことができるとしたらどうするか。別れた彼女が自分の記憶を無くしたと知らされたら。自問自答。この映画は恋愛の一時期の輝きとすばらしさと、痛みを背負って生きることの宿命からは逃れられないことを伝えてくれる。だから好きだ。現実世界で苦痛から唯一解放してくれるのは「時間」だ。時が過ぎるのをただ待つしかない。そして自分に都合の良い断片的な思い出だけを残してまた同じことを繰り返してしまう。
それが嘘でも幻想でもその夢の中に眠っていられることは最も幸せな事だ。
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