私はこの映画を友達と見に行ったけど、一人で来れば良かった！と本当に後悔した。見終わった後なんだか魔法にかかった様に恍惚状態になってしまい、隣にいる友達が｢面白かったね〜｣とか言ってるのに反応したくもない、そんな風になってしまったんです。

どなたかも書いておられましたが、『ラピュタ』が「男のロマン」なら、『ハウル』はまさに「女の憧れ」です。世の男性がシータやクラリスのような女の子に魅力を感じるように、女性はハウルのような男性を求めていると思う。ソフィはそろそろ「少女」という代名詞とも別れを告げ「女性」へと変わってゆく年齢で、相手を頼るだけでなく、相手にも頼ってほしいという包容力や母性本能が生まれてくる頃。ハウルはそんな女性のツボをしっかり抑えてるんです。いつもは颯爽とした美男子なんだけど、たまに自分の弱い面を無防備にポロッと出す。わががま言うときもあるし、そうかと思えば思わず顔が赤くなっちゃうような事をストレートに言ってくる。いきなり花畑をプレゼントしてくれたりするけど、あなたにしか見せません的な闇の部分もしっかり持ち合わせてる。 嗚呼、女ってこんな男を求めてるんデスよ！と思わず鼻息が荒くなりますた。アシタカも確かにいい男だけど、決して弱い面はなかったもんね。

今まで自分の趣味の女しか描けないんかと思っていた宮崎駿が、こんな男性を作り上げてくれた事(未読だけど原作のハウル像も関係あったりするのかな？)に感謝、拍手です！！パチパチ。

まぁソフィに関しては姿かたちはおばあちゃんにしてみても、しっかり宮崎好みの女性になってたって気はしますけどね。でもソフィはすごく女性らしい女性だと思います。冒頭でおばあちゃんにされてしまったソフィは、必死でその事実を受け入れようとする。確かにアレじゃ簡単に受け入れすぎだとは思うけど、意外に女って現実に立ち向かっていける生き物なんじゃないかな。そういう「女の強さ」を持っているソフィは、宮崎作品で今までにない女性像だと思う。

ストーリーの方は、前作の『千と千尋の神隠し』に比べて凄くシンプルだな、と思いました。あちらはものすごい量の知識を詰め込んで細部にわたるまで計算しつくしこだわっていたけれど、『ハウル』は単純。すんなりストーリーを追っていけました。わりとしっかりした原作が元にあるって言うのもあると思うんだけど。でもきっと宮崎監督のことだから、裏にこムヅカシー知識をたっくさん詰め込んでるんだろうなァ…。見れば見るほど奥が見えてきて、スルメみたいな映画ですね、宮崎作品は。

久しぶりにいい映画見たって感じで、満足です。 もう一回、今度は一人で見に行こう。