[コメント] ネバーランド(2004/英=米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
マーク・フォスターは前作『チョコレート』でのスキャンダラスな作風から一変し、この『ネバーランド』では叙情溢れる感動作を作り上げた。手堅い演出ができることを証明し、今後も期待できる監督であることを実感した。
ジョニー・デップも同じく幅の広さを見せつけた。ひとりの存在で映画の雰囲気をがらりと変えた『パイレーツ・オブ・カリビアン』とは対照的に、今回は作風を壊さないよう落ち着いた演技を披露し、それによって印象が薄くなるわけではなく、子供に語りかける目線から「信じること」の大切さを説く上でしっかりと説得力を感じさせる。
ケイト・ウィンスレット、ジュリー・クリスティー、ダスティン・ホフマンらも彼らの役割を過不足なく演じ、安心して見ていられる。
ストーリーを見ても、バリの「ピーターパン」をファンタジー要素として巧みに利用しつつ、バリの妻との冷え切った関係や、子供たちから影響を受けた創作活動など、人間としてのバリを丁寧に描いている。“Finding Neverland”という原題の意味合いも、それぞれが自らのネバーランドを探す話だとわかれば、的確な題名を持っていると感じる。また、緑に囲まれたケンジントン公園の風景や、終盤でカタルシスを感じさせるネバーランドのビジュアルデザインも、美しさを放つ。実に手堅い秀作である。
しかし、爽やかに感動を味わうことができたにもかかわらず、何かが足りないのは何故だろう。あまりに丁寧に仕事をこなし過ぎたのではないか。リズミカルな展開が重みを失わせ、鑑賞後に良い映画を観た後に感じる満足感をあまり残さない。良い映画だったことは相違ないはずなのに、である。画面から滲み出る“何か”が、この映画には欠如しているように思えて仕方がない。
(評価:)
投票
| このコメントを気に入った人達 (5 人) | [*] [*] [*] [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。