[コメント] エイリアンVS.プレデター(2004/米=独=カナダ=チェコ)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
以下、プレデター2に若干触れています...。
1986年に設立された「ダーク・ホース・コミックス」というアメコミの出版社がありまして、この会社は特にSF映画の設定、内容とタイアップしたコミックスを多数発売しているそうです。 『エイリアン』、『プレデター』、『ターミネーター』などのコミックスを出していたそうですが、その後各作品単体物のみならず、クロス・オーバー物が出版されるようになってそのなかに『エイリアンVSプレデター』があったそうです。
コミックスのストーリーは、人類が植民を始めた辺境の惑星にプレデターが襲来、人類VSプレデターの対決の図式になるはずだったのが偶然惑星上でエイリアンの宇宙船が発見されてしまい卵が孵化、生き残るためにプレデターと人類が図らずも共同戦線を張り、押し寄せるエイリアンを協力して撃退するというものだったそうです。
このコミックスが非常に売れたため気を良くした出版社はカプコンにゲーム化権を売り、映画化も真剣に考えていたようです。実際にピーター・ブリッグスという脚本家が91年に脚本を執筆していまして、その内容はコミックス版に準じており、主人公は日本人女性、ラストはその女性の健闘を称えたプレデターが武器を渡して去るというエンディングになっていたそうです。(既に映画をご覧になられた方はお分かりになられると思うのですが、このエンディングはアンダースンが執筆した脚本にそのまま流用されています。)
実際『エイリアン3』に続く企画としてあったらしいのですが、『エイリアン4』の脚本家ジョス・ウェドンの「荒唐無稽すぎる」という判断の元、映画化は却下されてしまったようです。
ですが上記のような背景と『プレデター2』のラストでプレデターの宇宙船内に戦利品としてエイリアンの頭蓋骨が飾ってあったりしましたので、SF映画ファンの間ではいずれはスピン・オフ作品として実際に映画化されるのでは...という噂が絶えなかったようです。それで昨年の、『フレディVSジェイソン』の興行的成功もありまして、 今回、映画化の運びになったようですが...どうも公開前から聞こえてくる情報は、地球が舞台らしい、ランス・ヘンリクセンが出るらしい、ピラミッド内で戦うらしいといった、コミックスの内容からはかなり遠ざかったものとなっていました。 コミックスの内容がかなり面白そうだったのでやや一抹の不安を感じつつ鑑賞したのですが...やや残念な出来になっていたと感じざるをえなかったです。
それは設定的にプレデターの成人の儀式のシステムにエイリアンが最初から組み込まれており、立場的にエイリアンがプレデターの傀儡のポジションになっていたからだと思います。互角の立場になっていないうえ、2種族がどのようなファースト・コンタクトを行うのか、とても興味がありましたので、その部分が描かれなかったのはとても残念に感じました。2種族が互いに予備知識無しで戦う有様(エイリアンの酸性の血液に驚くプレデターとか、プレデターの多彩な武器に恐れを抱くエイリアンとか)を見たかったので、既にファースト・コンタクトが済んでいたという設定には若干残念なものを感じました。
色々不満な点もあるのですが、やはり二大モンスターが同じフレームに収まっている絵はぐっと来るものがありましたし、久しぶりに両キャラクター、スクリーンで見ることも出来ましたのでその点はとても良かったです。続編も作られるようなエンディングでしたので、続篇ではプレデターもエイリアンももっと数を増やして、一大バトルを展開するような派手なアクションを期待したいと思います。
※以下は本作品とはあまり関係ないのですが、ダーク・ホース・コミックスでは、『バットマンVSプレデター』、『スーパーマンVSエイリアン』、『ロボコップVSターミネーター』、というコミックスも出ているそうです。ちなみにゴジラとガメラのコミックス化権も持っているようです。
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