[コメント] ビフォア・サンセット(2004/米)
心地よいBGMを背にパリの街並みをただ通行人が行き交う風景ショットをつなぐオープニングから映画の世界に惹き込まれ、天恵のように訪れた突然の再会に高揚感が昂っていく。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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書店でのイーサン・ホークの談話会場面で、回想シーン(というか前作のカット挿入)が挟まれる演出には、うわっベタだなぁと思わされもしたのだが、次の瞬間のジュリー・デルピーとの再会の仕方がよい。横をふと見ると彼女が立っている。劇中のホークもギョッとしていたが観ているこっちも意表を突かれる。それが素敵。
一瞬の永遠を謳歌するかのように続くダイアログも、会話の中身があっちに行きこっちに行き、意味深いところに切り込んだかと思えば他愛のないジョークへと揺り戻し…というさじ加減が秀逸で、お互いの気持ちを探り合うような緊張感が常に失われない。
二人は常に移動し、それをカメラも追い続ける。日暮れ前の柔らかく弱まった光線が、セーヌの川面をなでる涼しげな風が、カフェに漂うコーヒーと煙草の匂いが、画面を通じて伝わってくるような繊細さ。
男である自分としては、どうしてもデルピーに目が行きがちになってしまうのだが、ホークの受けの演技も好ましい。場所はパリ、女にとってはホーム、男にとってはアウェイの地だからこそ生じる関係性か。
最後に訪れるデルピーが住むアパートメントの雰囲気も堪らない。猫を抱え二人が並んで階段を上る場面が美しい。そしてラスト。千切れ方の潔さ。
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