ジョー役のダニエル・ウーは確かに格好良い。ただ、あの人物設定はちょっと頂けない。父親と母親の狭間で苦悩する姿（過去）と、悪事を繰り返す「冷血サイボーグ」な姿（現在）に通ずるものを全く感じられない。本当の苦悩をもっと全面に押し出して描くべきだし、警視正である親父を受け入れられないからといって、なぜそれが警察全体に飛び火するのか？あそこまでジョーを描くために時間を割いているんだから…。仲間とのチームプレーも「ゲーム感覚」というだけでは甘すぎるし…本当なら彼ら全員が苦悩してたと思うんだけど。まるで分からん。

負傷したが為に仲間から制裁を受けた女（ココ・チャン）にしたって「お前そんなんで息絶えていいのかよ！？」と思ったし、またジョーにしたって「おいおいずいぶんと自分勝手な最期だな！！言いたいこと言ってからにしろ！！」と思ってしまったわけである。

以上を除けばかなり楽しい娯楽映画。ちょっと雰囲気の似ている「踊る〜」とは違い、アクションを直球でぶつけてくるので、こちらはその直球を思い切り受け取るだけ。カンフーが少なかったり、また爆破がやたら多かったりするが、終わってみれば「香港アクション！」なのだ。ラストも好きだが、個人的にはＬＥＧＯショップでの格闘やビルを屋上から降りていくシーンがお気に入り。やたら銃撃戦が多いのが（あまりそれを望んでいなかったので）気にはなる。。

ジャッキーはかなりスゴイことに…。泥酔状態を挟んで、終始真面目なジャッキー。ヘラヘラしないジャッキーを観るのは考えてみたら初めてかもしれない。それをこの映画に賭ける情熱と捉えるか、はたまた少し物足りないと思うのか…。まぁしかし、ジャッキーのアクションに不満なところは一切無かったし、逆に香港を舞台に活躍してくれただけで拍手ものである。ニコラス・ツェーとのコンビもなかなか面白いぞ。