[コメント] ブレードランナー(1982/米)
SFの衣装をまとった詩。哲学の衣装をまとった夢。
現実とは何か、自分とは誰かといったテーマらしきものですら、夜に煙る雨のかなたに遠くなってゆく。ましてデッカードがレプリカントだとか、エビ天4つは多すぎるとか、そんなことはどうだっていい。
スピナーのライトのハレーションがオレの目を射る。SF的な未来風景も、雨と蒸気とスモークのモヤ越しにしか見えない。素晴らしすぎる美術とは裏腹に、『ブレードランナー』の画面は実に見づらい。情報量が多すぎるくせに、ハッキリと映っているものが何1つないからだ。だけど、人間はなんでもハッキリクッキリ映るハイビジョン方式で夜な夜な夢を見ているわけではない。これでいい。オレにとって『ブレードランナー』を観るという行為は、夢を見るということに近い体験なのです。
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