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[コメント] レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語(2004/米)

エピソードがメリハリなく羅列されるため、抑揚なくダラダラした印象。端的に言って面白くないです。独特の世界観は大したものなのですが、そこに注力しすぎて物語が片手間になったみたいに見えるんですよね。まずは単純に監督の構成力不足って気がします。
Myurakz

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 ただしお話それ自体にも問題はあります。僕が一番気になったのは、3人の特殊能力があまりにも活きていないってこと。長女はクライマックスで真っ先に諦めちゃうし、長男も特殊能力とは関係なくレンズを見つける。何より赤ちゃんの噛む力が何の役にも立ってない。せめて吊るされたカゴを噛み切るとかすればいいのに、最後の難関を全員が全員何となくクリアしちゃうんです。ダラダラ進んできたエピソードが何となく解決しちゃうんだから、観ているこっちが盛り上がるわけがない。

 また主人公たち以外のキャラクターがどうも魅力に欠けることも、抑揚を失わせる一因になっているように思います。メリル・ストリープ演ずる叔母さんなんて、臆病になった心情の掘り下げとかがないから、死んじゃったところでとても子供たちが「世にも不幸せ」だとは感じられない。ぶっちゃけどうでもいい。

 結局全体を通して見ると「つまらなくて厚い絵本をめくってる」ような感じなんですよね。挙げ句に豪華なカメオは使う、火事の謎は残す、犯人は逃げると、そりゃ原作がそうなってるのなら仕方ないかも知れませんが、続編に色気を出す前にもっとやることがあるだろうって話です。映画は世界観だけで出来あがってるわけじゃない。

 あとジム・キャリーなんですけど、僕はこの人って、使い方を間違えると「○○を演じているジム・キャリー」にしか見えなくなる人だと思っています。今作が正にそれで、子供たちがいくら「オラフ伯爵の変装だ!」と騒いでも、「いやいや、ジム・キャリーだってば」としか思えなくて困りました。百歩譲っても「遺産を狙う老人」には見えなくて、やっぱり「何か面白いことを言おうと狙いすましている、顔の良く動く男」にしか見えない。この興醒め感もまた大きかったんだな。上手く使ってあげられてる作品だってたくさんあるのにな。

(評価:★2)

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