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[コメント] 亡国のイージス(2005/日)

長い原作を映画化するにあたっての要素の取り出し方が不味すぎる。原作を読んでいない人が、映画だけを観て基本的なストーリーからして分かるかどうか多いに疑問であり、登場人物の個々の「想い」なぞ到底描ききれていない。
Walden

原作が長い小説の映画化につきまとう宿命だと思うが、いかに重要な要素を取り出して映画として完結させるかというのは、非常に困難な仕事だろう。

多くの映画の場合、監督やら脚本家やらの独自の解釈で、映画にとって重要な箇所を抜き出して、時としては辻褄を合わせるためにストーリーそのものを変えてしまう。それがうまくいくときは称賛されるし、うまくいかない時には原作に対する裏切りであるとして、原作ファンからは罵られる。

この『亡国のイージス』も、原作が文庫本で上下2巻であり、重要な登場人物も多く、それゆえにそれぞれにまつわるエピソードも多く、それらが絡み合う所に醍醐味がある。なので、この原作を映画化するのはなかなか難しいだろうというのは、素人の想像でも分かる。

しかし、今回映画化されたのを見ると、そもそも、そうした「要素をちゃんと解釈して取り出す」という作業そのものが放棄されているという印象を受けた。原作に出てきたそこそこに重要な事象を「並べた」だけのように見える。

宮津、如月、仙石、ヨンファ、渥美といった登場人物を、ただ単に登場させた、という風にしか見えない。彼らがそれぞれに持っている過去や「想い」を中途半端にしか描かず、それゆえに、大事なシーンがやってきてもまるで胸に迫ってくるものがない。真田広之、寺尾聰、佐藤浩市、中井貴一といったベテラン俳優陣は良い演技をしており、個人的には特に中井貴一の演技はよかったと想う。しかし、1つ1つのエピソードが、背景描写が中途半端な状態で唐突に飛び出してくるので、原作を読んでいたにもかかわらず「え?」という感じだった。

最もかわいそうなのはチェ・ジョンヒである。いくらなんでもあの扱いはないだろう。

また、導入もかなり不親切である。ダイスという言葉が出てくるにもかかわらず、まともに紹介も説明もされない。そもそもいそかぜが何やっているのかも説明されない。この映画が、『亡国のイージス』を単なるアクション映画におとしめたかったのであれば、納得いかなくもないが。

短い時間の中に長いストーリーを押し込まなければいけないのだらから、もっと大胆に話を作らなくてはならなかったと想うし、もしそれができないのであれば、そもそもこの映画は作るべきではなかった。

(評価:★2)

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