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[コメント] ロミオとジュリエット(1968/英=伊)

スクリーンに初めて登場した瞬間に世界を驚かせることが出来た女優は過去に3人しかいない。それは特別な美しさではなく、その時代性を超越したオーラとでも言いようのない何かがあるからだ。
sawa:38

ヘップバーンと小百合。そして本作のオリビア・ハッセー

皆、当然、美しい。だが、美しいだけなら、それこそ星の数ほどの女優はもちろん、歌舞伎町のキャバクラに行けば「美人顔」はごまんといる。だが、彼女たちに共通する「何か」を持っている者を探すのは至難の業である。

「何か」を単純に「清純さ」とか「健康美」というような簡単な単語で言い表すことは難しい。はっきりしているのは、その時代ごとに存在する「美しさ」という基準から彼女たちがはみ出してしまっている事であろう。

本作の冒頭でジュリエットの登場はかなり遅い。両家の喧嘩の後、モンタギュー家のロミオの恋の悩みでひとウンチクやった後での登場である。彼女を探す声が屋敷に響き渡り、カメラが大きく振れて、閉じられた窓を捉える。そして、勢いよく開かれる扉、その瞬間、音楽はテンポが変調し、心なしか色調さえ明るくなったような気がする。否、そこに現れた少女の「何か」が色調さえも変わったような気にさせるのだ。

本作ではその衝撃的なカットが見られる。それだけでも見ごたえはある。それに加えて、オスカー受賞も納得の素晴らしい撮影と色彩術の集大成とも言うべき衣裳の数々、さらに後世までも名曲として残った音楽。そして言うまでも無いが流れるようなシェイクスピアの言葉の誘惑。

つまりは全てが美しい。本作はただひたすら「美しさ」に酔えばよい。

ただひとつ難点をいえば、非現実的なシェイクスピアの言葉遊びに酔ってしまって居眠りしてしまうことぐらいだろうか?

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)けにろん[*] Ribot[*] 水那岐 24[*]

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