[コメント] 私の頭の中の消しゴム(2004/韓国)
映画を見終った人むけのレビューです。
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最初、駅のホームで主人公が泣いてるシーン。
「なるほどこれは時間軸を入れ替えてるんだな。待ち合わせ場所を忘れてしまったので電話したいけど、電話番号が思い出せなくて途方にくれて泣いてるってことだな」と思いました。でもそうじゃなかった。たんに不倫相手に裏切られて泣いていただけだった。
この作り方は上手い。主人公の女性がアルツハイマーになる悲劇だってことは観ている側は当然知ってて、〔幸せ→不幸〕の段取りは予測してる。そこにあえて別の悲劇を持ってきて話を始めた。ネタバレを逆手に取ったいい演出だと思いました(勝手な思い込みかも)。
この映画のキモは、前半の恋の発展にあります。作り手としては、後半の展開をより悲劇的にするという意図があってのことなのでしょうが、一つ一つのエピソードがとても丁寧に作られてる。トランプ手品の口上とか、木彫りの顔を照れ隠しにゴミ箱に捨てるとか、こういうまっすぐで微笑ましいの私は好きです。
それに対し、後半以降はちょっと物足りない。泣き所はたっぷりと用意されてますが、実際に泣けることはありません。だってこちらがほろりとする前に、画面の中の人物が泣き叫んだりすると、かえって引いてしまうでしょ?
そんななか唯一よかったのは、ファミリーマートで皆が一堂に会するシーン。ただ、ぼこぼこにされた不倫相手の上司がそこにいないのは当然のことだとしても、個人的にはちょっと残念。ここは一つ、「ドアを一つ開けるだけ」ぐらいの心意気で、仲間に入れてやればよかったのに、とかどうでもいいこと考えてました。
余談ですが、冒頭、ホームレスの顔面どアップのシーンが好きです。これも含めて、男の顔の「皮膚感」がやけに印象に残ります
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