[コメント] 素晴らしき日曜日(1947/日)
いくつかの名シーンを取りますね。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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コーヒー1杯五円お菓子が五円二人で20円のはずがミルクがついて30円。10円足りないからコートを置いていく。この倫理観。それはそのまま男の欲望を受け入れられない自分とその状況に対する倫理観に通じる。コートのベルトを外してどうするかと思ったら肩を震わせて泣いたよ。いや驚いた。
キャバレーの地下の廊下のシーンが映画的で忘れ難い。狭い通路を行って戻る。ありきたりのシーンだが他がやたらと演劇的なので。空想の家の間取りごっこを手前から見つめる黒い人影の群れ。これまた演劇的だがゾクッとくる場面で、あの人影は浮浪児かそれとも戦死した英霊か。
映画の主脳は人情なり。世態風俗これに次ぐ、というわけで1947年敗戦2年後の貧しき恋人たちを映画いた本作品。やりたい男とそれを逸らす女の攻防の描写をまるで時間が主人公と言わんばかりに持続させる演出黒澤の業がすさまじい。前半お手軽に見ていた後半はこの熱量にやられて身動きできなくなった。
有楽町から日比谷公園、背景の焼け跡セット。いずれも懐かしい。私が生まれる2年前の作品だがこの既視感はなんだろう。私とは反りが合わない新劇チックな演出もあるが、いくつかの名シーンと浮浪児の描写に見られる黒澤リアリズムを断固支持の★4つ。
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