[コメント] 自由への闘い(1943/米)
朝、チャールズ・ロートンの家。お母さん・ウナ・オコナーが呼ぶ。階段を降りてくるロートンは猫を抱いている。しかし二階は一回も映らない。玄関ドアの下に地下組織のビラ。ロートンは隣人の子供と、モーリン・オハラと3人で学校へ向かう。学校の先生なのだ。オハラの弟ポールはケント・スミス。ドイツ兵と仲がいい。ビラをドイツ兵に渡す(地下組織の活動を報告する)。
学校では、男子クラスと女子クラスが別々だ。男子クラスの悪戯と暴れっぷりの演出も実にいい。このような細部にルノワールらしさが充満している。そして、空襲シーンとなる。母親を心配して学校から家へ帰るロートン。その後、二人で学校の防空壕へ入るのだが、ロートンの怖がりようが尋常じゃない。この演出を見た私も本当に心震える。嗚咽がこみあげる。
ポールは駅の操車場係。駅長はジョージ・サンダース。彼は、オハラの婚約者だ。しかし市長や駅長サンダースはドイツ軍と結託している。ポールが酒場でアコーディオンを弾き、ドイツ兵と一緒に唄っているのは、ローレライ。ポールの描き方も、矢張り、ドイツ兵と仲良くしている場面が強調される。
後半の裁判は、ちょっと大演説過ぎだとも思うが、しかし、ロートンの演技は見応え充分だ。ウォルター・スレザック演じる独軍指揮官(ケラー少佐)がロートンに会いに来て、「アメリカなんてアイリッシュとジューの、まるで子供のような国」という科白を吐くのも興味深い。
裁判の陳述でロートンがオハラに気持ちを伝えるときの彼女は美しい。黒い帽子をかぶったアップカット。モーリン・オハラが最も美しく撮られているのは、『静かなる男』以上に本作かも知れない。ラストカットもオハラなのだ!
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