[コメント] 白痴(1951/日)
凍りついた心にも温かい心にも平等に雪は降り注ぐ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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雪の美しさ、純粋な心、それはビスコンティの『白夜』(これも同じく原作がドストエフスキー)を連想させ、それが徐々に厳しく残酷なものの象徴に変わっていく。その白い雪やカリカチュアされた登場人物やその言動によって、ある種の怪奇幻想譚的(=ドストエフスキー的)な趣を表出することに成功している。
二時間もカットされた映画なのだから不完全なものを見せられているのは承知の上で、一つ一つのシーンのすさまじさはこの短縮版でも十分伝わってくる一方、そのために登場人物の掘り下げが今一歩な歯がゆさを感じてしまう。その原因は、うまくいえないのだが、残されたフィルムがクライマックスばかりというか、気合を入れて撮ったシーンばかりのようで、長さゆえ必要な余韻に浸る暇がないためのようにも感じる。
それでも、役者には5点、いや10点差し上げたい。特に森雅之と原節子の存在感。森雅之の役は一歩間違えると嫌味になるのだが、本当に存在するのではないかと思わせるほどの説得力があったし、原節子は、決して美人とは思わないのだが、画面からオーラがビンビン発散されているところは日本のマルレーネ・ディートリッヒと命名したくなってくる。この二人の演技は、日本映画の範疇を超えているような気さえする。
黒澤監督による壮大なる失敗作という意見に頷きながら、極めて個人的にこの映画を愛し、支持したい。
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