コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 生きる(1952/日)

残念ながら、私が常々感じている生きることの素晴らしさと、ここにある生きることとは、意味が違う。
mal

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







最期まで息子との間のにある氷を融かす努力をしない主人公が、とても淋しい。息子を思う強い気持ちがあるのに、壁を感じてしまったらそれ以上伝えようとしない。その壁を作ってきたのは自分でもあるのに、目の前にあるそれを無視して外に目を向けて何をやり遂げようが、根元は不安定なまま終わってしまうではないかと心配になった。

「生きて」こなかった自分に気付いて焦るこの人には、公園造りに奔走する前にもっと他にして欲しいことがあった。ほんの少しでも自分から歩み寄って、些細なことでもいいから家族と語り、分かり合い、笑い合って欲しかった。一番(かどうかは人それぞれではあるけどやっぱり)大切なことを諦めないで欲しいと思った。期限が迫っているからこそ、そこを一足飛びにしては生きられないのが人間ではなかろうか。そういった意味で、私には、彼が最後まで「生きた」ようには見えなかった。

誰の役に立つこともなくても、身近なところで暖かいものを通わせることをまず第一歩としたい、それが何かを遺すということの意味なのではないか、という思いが取り残された。

(評価:★2)

投票

このコメントを気に入った人達 (7 人)TOMIMORI[*] らーふる当番[*] 鵜 白 舞[*] あき♪[*] Pino☆[*] ハム[*] いくけん[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。