[コメント] 生きる(1952/日)
残念ながら、私が常々感じている生きることの素晴らしさと、ここにある生きることとは、意味が違う。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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最期まで息子との間のにある氷を融かす努力をしない主人公が、とても淋しい。息子を思う強い気持ちがあるのに、壁を感じてしまったらそれ以上伝えようとしない。その壁を作ってきたのは自分でもあるのに、目の前にあるそれを無視して外に目を向けて何をやり遂げようが、根元は不安定なまま終わってしまうではないかと心配になった。
「生きて」こなかった自分に気付いて焦るこの人には、公園造りに奔走する前にもっと他にして欲しいことがあった。ほんの少しでも自分から歩み寄って、些細なことでもいいから家族と語り、分かり合い、笑い合って欲しかった。一番(かどうかは人それぞれではあるけどやっぱり)大切なことを諦めないで欲しいと思った。期限が迫っているからこそ、そこを一足飛びにしては生きられないのが人間ではなかろうか。そういった意味で、私には、彼が最後まで「生きた」ようには見えなかった。
誰の役に立つこともなくても、身近なところで暖かいものを通わせることをまず第一歩としたい、それが何かを遺すということの意味なのではないか、という思いが取り残された。
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