[コメント] 隠し砦の三悪人(1958/日)
今も変わらぬ封建時代精神のロードムービー。ヒロインの逃避行。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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馬のシーンはすべていい。モブシーンも恐るべき迫力だ。初めの農民が解放されその後、屍人(しびと)累々のシーンは、太平洋戦争末期、空爆で破壊された日本の都市部の光景だろう。そしてキャラ立ちしている姫も、時折どう評価していいか戸惑う箇所(歌のセリフ・不自然なセリフ回し)が散見されるが、終盤捕まってからの言動振る舞いはやはりヒロインとしての強烈な印象を与える。「裏切りごめん!」の名セリフの後で去りゆく馬のシーンで終わりにしてもいい。しかしその後で、丁寧にエピローグを付け加えて、狂言回し2人の顛末を加える。オープニングに戻るというのは一番安定感のある作劇上の要請である。かなりの安堵感で見終えることができるのは、このエピソードが安定感をあたえているからだ。
それに反して、冗長な描写が目立つところがあって、時間感覚が現在と違うようださえ思う。凸凹コンビの坂道を登るシーンとか、せっかく素晴らしい騎乗格闘シーンを見せた後で長すぎる槍の試合。火祭りは日劇ダンシングチームの踊りだが、なんだか違和感がある。クライマックスに団舞を見せる、ってのはこの時代のお約束(モスラにもあった)だが。そういった退屈な部分と瞠目するシーンとのバランスがとても悪い。
話の転がし方は大変に面白い。作りものでも、おおそうきたか、と納得させるエピソードが満載である。このころの脚本はずいぶんと手間隙かけてあると思われた。
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