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[コメント] 赤ひげ(1965/日)

人情家黒澤明のヒューマニズム。
ぱーこ

赤ひげは人の言うことを聞かない独裁者。つまりこれは黒澤明のことだ。三船は黒澤の精神を体現した俳優なのだった。男は黙ってサッポロビール。このCMが三船のキャラクターをよく表している。清濁合わせ飲んでしっかり仕事をする男とはこういうもんだ、と黒澤監督はいいたかったんだろう。

話は加山雄三が医者として成長する話だが、患者のエピソードで組み立てた病院ものである。香川京子にしろ二木ひとみにしろ狂人や被虐待児の観念を示すための記号でとても生きている人間に見えない。これは長所なんだが私にはものたらない。普通の人があるとき見せるとんでもない表情や振る舞いが見たいのだが、それを黒澤映画に求めても無駄。絵柄がじつによくきまる画面ですばらしい。照明も写し方も作り込んで作り込んで形を決める。家族ゲームの食事シーンはここなのか、とかつげ義晴のゲンセンカン主人の構図は黒澤から来たのか、とかともかく画面の力がすごい。

1965年オリンピックの翌年で1966年にはビートルズ来日になる。そんな時代を考えるとこの映画は随分と昔のそして変わらぬ価値を白黒で見せてくれたと思える。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)ぽんしゅう[*] ペンクロフ[*] けにろん[*]

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