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[コメント] ホテル・ルワンダ(2004/伊=英=南アフリカ)

このような悲惨な現実を映画によって世界に知らしめることの意義はもちろん了解するが、作品としては首をかしげる出来。
緑雨

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







感動しなかったわけではない。だがそれは、西欧の旧宗主国の勝手な都合で分断された種族が殺し合う、先進国は手を差し伸べることもしない、という悲惨な貧しい小国の歴史に情を動かされたのであって、「映画にエモーションを喚起された」というのとはどうも違う気がする。中途半端な、詰めの甘さが作中の到るところに感じられ、映画の世界に酔わせてくれない。

例えば民兵に殺されかけた妻ソフィー・オコネドーがトラックに乗り込まなかった夫ドン・チードルに烈火の如き激情を見せる場面、次の展開をはらはらと期待させながらいつの間にかわだかまり一つ見せることなく仲直りしてしまったりする踏み込みの甘さ。或いは、横転した救急車を見せてその行く末の絶望を暗示していた赤十字の白人女性がラストで生きていたという展開をまったく感動的に見せようともしない甲斐性の無さ。霧の中を行くバンが何かに乗り上げ、車を降りたら無数の死体が横たわっていたというあの場面にしても、たとえば『キリング・フィールド』の類似シーンなんかと比べると映画的表現として稚拙に感じる。

テリー・ジョージなる監督がどのような人物なのか寡聞にして知らないが、上手い演出家だとは思えない。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)ペペロンチーノ[*] 煽尼采 ナム太郎[*]

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