[コメント] ブロークバック・マウンテン(2005/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
都会だとこなことはない。近所の主婦やご主人と何かがあったとしても全く問題ない。ましてや近所付き合いが希薄化した社会であれば、ですよね。要するに、この映画のこのような欲望や欲求などというものは常に存在するものであって、これがアメリカの、しかも1960年代で起こっていたようなお話としての面白さはあるかもしれませんね。
この映画に何を求め何を理解すべきか、とても悩ましいのですが、どうも、この類の映画にすっと迎合できない自分がいます。それはヴィスコンティの世界でもない、アメリカのロデオで、肉体派で、しかも男同志というのを、どうも理解できない。『クライング・ゲーム』の感覚とも違いますね。新しい感覚なんでしょうか?
男の友情ってのはこういう関係なんでしょうかね。
反面、この男二人にかかわる女性はいずれも、ある意味で正常です。特にイニスの妻の第六感は信用できます。あれが女性というものです。でもジャックの妻の方が上手かもしれません。何もかもに気づいていながら泳がしている。最後は自身の身が保全されれば良いという割り切り方。イニスの妻はそれをしばらく我慢しますが、最後暴露してしまいました。
耐えられない男と男の愛。
それが最後、ジャックの実家でやっと映画らしさが表現されましたね。『シッピング・ニュース』の世界でしょうか。下手な白いペンキで塗りたくられた家。その白い家の老夫婦、ジャックの親ですね。このさびれた夫婦の表現が過ぎ去った日々を一気に現実にしてしまいます。
そしてラスト。イニスの娘が結婚を告白にトレーラーハウスにやってきますね。初々しい娘の告白。この二つのシーンでこの映画は救われました。
いずれのシーンもブロークバック・マウンテンの背景が凄い。こんな美しさはほかで体現できないでしょうね。
それでも、なかなか入りこめない映画。
嫌いな映画ではありませんが、とても入り込みにくい映画でした。
2009/02/23
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