[コメント] ヨコハマメリー(2005/日)
異物が他者と混在していた、歴史上のある季節。その異物がある日突然消えてしまったその時、人は今までが幸福な時代だったことを知るのかもしれない。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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自分は「メリーさん」については噂で聞いた程度だったのだが、横浜に一時期勤めていた姉はしばしば彼女を見たのだそうだ。まして横浜在住の人たちにとってみればなおさらなのだろう。
宿無しで、最低の暮らしぶりでありながら身だしなみはきちんと整え、毅然として「美しくないもの」をはねつける、「皇后陛下」のようでも「お化け」のようでもあったひとりの女性。彼女は時代を超えて己のスタイルを変えることを拒み、それによって意識的に時の移り変わりのはかなさ、時代の強引な変革のグロテスクさを糾弾していたのかもしれない。独特のスタイルは舞台上の仮面であり、その素顔はどこにでもいる老婆のものだとラストで知らされてはなおさらだ。
「汚濁」のない社会は綺麗に見えるが、息の詰まるような思いをさせられる社会でもある。メリーさんはそういう時代に遣わされた、何処か別の世界からの使者にも見える、と言ったらうがち過ぎだろうか?
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