[コメント] 宗方姉妹(1950/日)
この山村聰が発する陰鬱さはなんだ。
映画なんていくら陰鬱であったって構わないし、そもそも『宗方姉妹』は決して陰鬱一辺倒の映画ではないのだが、この作品の場合はやはり陰鬱さのバランスの取り方に問題があったのではないだろうか。確かに『早春』も陰鬱な映画であるが、楽しい場面や笑える細部も多かった。一方『東京暮色』はそういったバランスなどいっさい顧慮されず徹底的に陰鬱。だが、これはこれで成功していると云えるだろう。 それらに比べると本作はなんとも中途半端というか、負のオーラを出しまくる山村とやけに浮いてしまっている高峰秀子、といった按配になっており、小津の狙いが実現できていないように思える。
あるいは山村のキャラクタ造型の仕方いかんによってずいぶん印象の異なった作品にもなっただろう。しかし本作の最大の魅力はその山村の過剰なキャラクタだとも云えるのだから、うーん、判断の難しいところですね。
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