[コメント] 日本沈没(2006/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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○どこでも草なぎ君の謎
道路も電車も寸断されているわ、もちろんガソリンの供給もないだろう。道端には死体もあるって状態でどうすれば実家に帰ったり日野や横浜に行けるのか。頼むから少しは苦労してここまで来ましたって演出出来ないものかと。どこでも草なぎ君を見ていると亡くなった人が大勢いるとか言われても逃げ場失った方がバカに見えてくるもんです。
○政策決定の稚拙さ
昔の日本沈没の頃は「日本は世界中に悪い事をしました。だから日本が沈んでも誰も助けてくれません」なんていう超自虐歴史(アメリカGHQが作った秀作。後東アジア国が悪用)を結構皆心の底から信じてた。そういう背景があったから事は深刻だったし骨董無形な設定でもリアル感があった。はっきり言えば日本人は世界規模で言えば100人中恐らく三番には入る金持ちであってアフリカの貧民国に100万人程度移住しただけでそこの国の経済力がどっかんとあがったりするわけだ。ありとあらゆる日本人のスキルはどこに行こうが世界トップクラス。ここら辺を考えれば貧民・無教養の大量難民とは全く異なるわけでむしろ各国人材の奪い合いになると想定される。何のとりえも無さそうな中央アジアの砂漠国家が大手メーカー社員+家族を誘致すると大型プラズマテレビが作れる様になってしまう。そりゃどこだって欲しがるもんです。
話は日本沈没からずれるが実際のところ日本が沈没して日本人が世界中の貧困国にばらけた場合世界規模の貧困の格差是正、経済途上国が文字通り急上昇するきっかけになるのは間違いない。困るのはひだりうちわだった欧米諸国であり将来的に危惧されるのは各国が爆発的経済発展を遂げてエネルギー不足になる点だろう(それを見越して阻止する為にアメリカ・欧州各国が日本難民を…と言うのならリアルな話だが)。
世界大戦で欧州から大挙してアメリカに逃げたユダヤ人。あれで欧州の衰退に拍車がかかりアメリカに富と知力が逃げた。この愚を欧州は二度と繰り返さないだろうということだ。
ところが映画上の政府は余りにもこういった現状認識から乖離したところで四苦八苦しているのでどうにも説得力が無い。仏像売って嫌がる外国に人を押し込むとか、根底からしてあり得ないから。日本人難民を嫌ってデモやってる映像がなんかも最たるもの。あれって外国の人が見たら相当腹が立つ映像だと思うよ。ある国が無くなって放浪している民をバッシングするなんて道徳的にあっちゃならないわけで「日本人は我々をこんな意地悪な連中だと思い込んでいるのか」とさぞかし落胆したであろう。
○沈むのを止めたはいいけど
この飛び飛びの離島列島でどうすんだ?島一つづつに巨大なビルでも建てるのか。それとも観光産業で細々と暮らすのか。何とも中途半端なオチを用意したものだ。沈むなら朝鮮半島と中国丸ごと引きずり込むぐらいの豪快さが欲しかった。正直その方が東アジアの観客動員を増やしたはずだ。(ちなみにチベットは残してやるのは皮肉だ)
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