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[コメント] M:i:III(2006/米)

トム・クルーズのイメージビデオ」ではなく「作家主義の暴走」でもない、とにかくもう過激なまでにポッシブル≒普通な『ミッション・インポッシブル

そもそも以前のM:Iシリーズとは、圧倒的なトムの人気とカッコよさをバックに成し得ることのできた娯楽映画というマス・メディアにおける「作家主義の暴走」だった。ストーリーテリングを無視した作家主義的映像(被り脱がれまくる変装マスク、過剰なスローモーションなどなど)が炸裂する中をトムの「オレオレ節」「オレオレ光線」「オレオレ魂」が炸裂する―それが「これまで」のM:Iシリーズの醍醐味だった。

ただ、もうこれは周知の事実なのでさっぱり書かせてもらうが、現在トム人気は完全に斜陽を迎えている。かつてブリトニー・スピアーズ、マイケル・ジョーダン、バックストリート・ボーイズなどの錚々たるセレブリティを抑えて、「地球上で最もパワフルな有名人」(米フォーブス誌)の第1位に輝いていたトム。それが今や、米TVガイド誌が2005年に行った統計「最もイメージダウンしたセレブリティ」の第1位に輝いてしまったトム・・・。ああ、トム・・・。

そして、「作家主義」という意味においては、1作目のブライアン・デ・パルマ、2作目がジョン・ウーという一癖も二癖もあり過ぎる監督と比べ、今回のJ・J・エイブラムスは技術云々は抜きにして手癖なし。作家主義なんて御法度のTV出身。もし最初に候補に挙がっていたデビッド・フィンチャーがそのまま監督していたら・・・なんて想像してしまうのは野暮だよなあ・・・。

いや、つまり何が言いたいかって言うと、トムの人気という下支えも作家主義の暴走でもなくなった『M:i:III』に残ったのは、非常によくできた「普通の娯楽大作」という箱物だ、ということなのだ。赤いドレスを身に纏ったマギー・Qの美しさに惚れ惚れしたり、フィリップ・シーモア・ホフマンの冷徹なヒールぶりに背筋が凍ったり、見所はたくさんある。のだが、「トム以外の見所」がたくさんあるということ自体、異常なまでに「これまで」のM:Iシリーズを偏愛してきた自分のような人間は非常に複雑な気持ちになってしまう・・・。

まあ、採点としては★3だけど、M:Iシリーズファン贔屓して+★0.5、今後に次回に期待を込めて+★0.5、合計★4ということでどうでしょうか?

ただ最後に苦言を。

結婚したイーサン・ハントの私生活なんて誰も知りたくないって!!!

スパイなら世界中の国に女作れって!!!

以上

(評価:★4)

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