[コメント] 秋日和(1960/日)
のどかで、陽気のいい、秋の日のにっぽん。台風も来なければ、地震も起きない、豪雪も、うだるような猛暑もない、理想的な日本。外国の人に、日本ってどんな国ですか、と聞かれたら、見せてあげたいような。ちょうど就職試験の履歴書には、ちょっとすました写真を貼るように。お見合い写真には、ちょっと気取った写真を貼るように。少し背伸びした、よそ行きの日本。もしかしたら、見せられる方には、つまんないかもしれないけど。でも、そんな背伸びの仕方に、いかにも日本的なものを感じ取ってくれちゃったり、しちゃったり、しないかなぁなんて、想像してついニヤニヤ。
司葉子がちょーかわいい。デビューしたての頃のチャン・ツィイーにちょっと似てる。いや逆だ。チャン・ツィイーが司葉子に似てるのだ。オリジナルは本邦だ。封建社会が現代へと変わりゆく、そういう時代の女の顔だ。頭が高いぜ!控えおろう!(少し暴走気味)
しかし、日本にっぽんと書きましたが、この映画、完全に東京の映画だね。『東京物語』以上に東京ローカルな映画だ。田舎なんて東京人の疎開先としてしか描かれない。東京人以外がこの映画を観たら、どう感じるのだろう。
80/100(04/11/03見)
付記)この作品でも、『彼岸花』(1958)でも、『秋刀魚の味』(1962)でもそうだが、核家族化→少子化への傾向は明瞭に見てとれる。親は以前の時代ほど、子供世代に干渉しない。だが、この時代の人たちがまったく想像しなかったこと、すなわち懸念もしなかったこと、したがって映画にもまったく描かれていないことは、高齢化社会到来の予感だ。原節子さんの消息は寡聞にして聞かない。そんなことも少し書いておきたく。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (3 人) | [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。