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[コメント] 秋日和(1960/日)

時代の風景。家族の風景。日本の風景。寒さの厳しい冬でも、クソ暑い夏でもなく、小津作品は秋に観るのがぴったりだなあ。
G31

 のどかで、陽気のいい、秋の日のにっぽん。台風も来なければ、地震も起きない、豪雪も、うだるような猛暑もない、理想的な日本。外国の人に、日本ってどんな国ですか、と聞かれたら、見せてあげたいような。ちょうど就職試験の履歴書には、ちょっとすました写真を貼るように。お見合い写真には、ちょっと気取った写真を貼るように。少し背伸びした、よそ行きの日本。もしかしたら、見せられる方には、つまんないかもしれないけど。でも、そんな背伸びの仕方に、いかにも日本的なものを感じ取ってくれちゃったり、しちゃったり、しないかなぁなんて、想像してついニヤニヤ。

 司葉子がちょーかわいい。デビューしたての頃のチャン・ツィイーにちょっと似てる。いや逆だ。チャン・ツィイーが司葉子に似てるのだ。オリジナルは本邦だ。封建社会が現代へと変わりゆく、そういう時代の女の顔だ。頭が高いぜ!控えおろう!(少し暴走気味)

 しかし、日本にっぽんと書きましたが、この映画、完全に東京の映画だね。『東京物語』以上に東京ローカルな映画だ。田舎なんて東京人の疎開先としてしか描かれない。東京人以外がこの映画を観たら、どう感じるのだろう。

80/100(04/11/03見)

 付記)この作品でも、『彼岸花』(1958)でも、『秋刀魚の味』(1962)でもそうだが、核家族化→少子化への傾向は明瞭に見てとれる。親は以前の時代ほど、子供世代に干渉しない。だが、この時代の人たちがまったく想像しなかったこと、すなわち懸念もしなかったこと、したがって映画にもまったく描かれていないことは、高齢化社会到来の予感だ。原節子さんの消息は寡聞にして聞かない。そんなことも少し書いておきたく。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)牛乳瓶 けにろん[*] ジェリー

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