[コメント] 山椒大夫(1954/日)
溝口健二の持つ芸術性がいかにわがままか、という最高峰の映画。
溝口健二監督と風呂を共にした者が背中の傷について訊ねると、「映画ってのはこれだぜ」と言ったとかなんとか・・・
これは正に映画の上でのわがままそのものではありませんか。今この時代のことを想像することはできませんが、脚本家に対しても、撮影監督に対しても、美術監督に対しても、そして役者に対してもこれほど辛い監督はいなかったでしょうね。
よく小津安二郎監督と比較されますが、撮影風景は正反対。小津監督はカットを細かく重ねるタイプで、何度も細かい指図をして役者を泣かせた方ですが、溝口監督はシーンが気に入らないと帰っちゃうらしいですからね。現場にいる者はたまりませんよね。
何度かこの映画を見ていると、香川京子さんの表情にほのかにその辛さが出ています。対する名女優田中絹代さんは慣れっこで、どっしりしてます。いずれも見事だと思います。
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