[コメント] 暗いところで待ち合わせ(2006/日)
今一番お気に入りの乙一原作の切ない系の代表作。心を外に出せなくて、自分の世界だけに沈んでいる人或いはそういう時って結構あると思う。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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人間って、弱い動物だから、自分ひとりで生きられないというのは分かっていても、生きていく環境の厳しさにたじろぎ、主人公が杖を携えるのを尻込みするように、小さな自分の世界に居つづけようとするものなのだ。
この映画はそんな世間からは無視されているような若い二人が自分の足で歩み始めるまでを描いている。
田中麗奈とチェン・ボーリンの哀しいまでの息を詰めた二人だけのやり取りは本当に美しい。よく、こんな難しい素材を映像化できたと思う。それには二人の演技力にかかっているわけだが、充分彼らはそれに応えている。
特に田中麗奈の素顔の美しさ、盲目の演技は特筆ものだ。彼女の今までの演技の粋であるかのように、素晴らしい。チェン・ボーリン は日本語が意外とうまく、内面演技も冴えている。二人だけの世界の素晴らしさはこの二人の演技による。
ラスト近くになってミステリーの種明かしがされる展開辺りからトーンが急に普通の映画になってしまったのが惜しいが、それでもラストは二人のかすかな明るい歩みを見ることにより、僕たちも新しい歩みを始めることができるのだ。
乙一の独特の世界の映像化に充分成功したといえる。日本映画の新たな収穫作。
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