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[コメント] 悪夢探偵(2006/日)

ヌリカベ龍平が初めて松田優作の息子に見えた映画。一も二もなくhitomiに尽きる。
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「都市と肉体」を描き続ける自主制作映画作家・塚本晋也。 監督・脚本・撮影・美術・編集・出演って、毎度毎度ホント自主制作だな。

ここ数作「肉体の内側=精神」に近づいていたが、久しぶりに『鉄男』の世界に戻った気もする。

東京で生まれ育ち「ビルが建ち並ぶ様が好きだった」、その一方で「圧迫感を感じ始めた」と塚本晋也は語っていたことがある。「好きだけど壊したい」そんなコンクリートジャングルに対する思いがあるという。 本作の登場人物達はまさしく塚本晋也自身だ。 都市生活の中でえも言われぬ「圧迫感」を感じている者達であり、「破壊衝動」を秘めている。『鉄男』の破壊対象は“都市”だったが、本作は“肉体”に向けられる。 「平和ボケ」「覚醒」という単語が用いられ、明確に「都市の中に於ける肉体の復権」が叫ばれる。

常に塚本映画は、「真実に基づいた感動ストーリー」という流行りの現実的設定嘘話とは対極だ。 SF的異常な設定の下で痛みを伴う肉体が存在し、感情の流れも非常にリアルである。 ま、これは私が毎度言ってることなのだが。

ところが今回はチト事情が違う。 それは、一も二もなくhitomiに尽きる。 「良くも悪くも」ではない。「悪くも悪くも」hitomiに尽きる。 この映画の狂言回し(語り部)は彼女なのだが、これがヒドイ。 何がビックリするって、1センテンスまともにしゃべれない。 単語が2つ並ぶともうダメ。6文字以上の単語はお手上げ。 ちーっとも語り部になってない。

なもんだから、彼女の感情の流れが自然に思えない。 どうしてバリバリのキャリアがすんなり「悪夢探偵」なんか信じるかね。自らの命を張ろうとするかね。 いや、これは演技力が伴えば素直にノレるのだ。観ていて自然に思える範囲なのだ。 要するに話は一切破綻していない。 大変残念な結果だと言っていい。いや、それはそれで楽しんだんだけどね。 思いの外、ヌリカベは良かったよ。

余談

どうやら塚本晋也は「脚フェチ」のようだ。思い返せば、エロス全開『六月の蛇』でも「胸」を強調することはなく、常に「脚」だった気がする。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)おーい粗茶[*] 空イグアナ[*] MSRkb

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