[コメント] パフューム ある人殺しの物語(2006/独=仏=スペイン)
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普段は聞き逃しそうな幽かな音の強調と、極端な近接撮影による細かなテクスチャへのこだわり、そして色と光のコントラストによって、最も不安に思っていた「匂い」に関しては見事に表現できていたとは思いますが、それだけでした。 特に、後半の「庭の迷路と双子」の場面以降は、なぜだか(『シャイニング』の呪いとも言えるけど)微妙にサスペンス風味が混ざってきて、本来この物語がもつ「良い意味でのばかばかしさ」がどこかにいってしまった結果、なんだかわけのわからない映画になっちゃったのではないでしょうか。 (この話が芸術作品ではなく法螺話であること理解していたのはナレーションのジョン・ハートだけでは?) おまけにダスティン・ホフマンとアラン・リックマンの2人の大物役者の演技は手抜きとしか思えないしなあ。
他にも「グルヌィユは、自分が"見えない"ことをわかってるんだから、忍び込むときには堂々としているだろうし、職人として働いているだけなんだから殺すときに躊躇はしないはず」とか「無表情でいいのに」とか「淡々と話を進めてほしいのに」とか「もっと赤毛をいっぱい出せ!」とか、原作既読者ならではの不満があったりもします。いや、赤毛に関しては単なる個人的趣味でした。原作でも2人しか出てこないや。
まあ、それなりに映像はきれいだし、とにもかくにも冒頭に記した通り「匂い」の再現を映画というメディアで成し遂げたことには拍手を送りますんで、3点と。
トリビア:主人公のファーストネームであるジャン=バティスト(Jean-Baptiste)は「洗礼者ヨハネ」のことです。ラストシーンはちょっとそれにひっかけているのではないかと。
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