[コメント] サイドカーに犬(2007/日)
おおむね面白い話ではあるし、画面も安定感があって見やすい。ただ、監督がこの物語の何処に力点を置いて演出しているのか判らず平板な印象の映画だった。
どうにも段取りくさいのである。竹内も子役の女のコも好いお芝居をしているとは思うのだけれど、説明セリフと感情的なセリフが同じようなニュアンスで語られるので感情移入しづらかった。例えば百恵ちゃんの家を探しにいく途中ヨーコさんが薫を驚かす場面や、薫が父親に対してワンワンと吠える場面など、明らかにエモーショナルなシーンにも関わらず演出にメリハリがないために流れてしまっていたように感じる。さすがにベテラン監督だけあって終始プロの画面ではあるのだけれど、根岸吉太郎という男がこの映画を撮った理由に「オシゴト」以上のモチベーションを見出すことができず、結果として物語の面白さが伝わってこなかったように思う。ロックな女の映画なんだから、若くロックな監督が撮ったほうがいいに決まってんだと思うんだ。根岸はきっとこの映画の舞台となった80年代に愛なんて持ってないし、ヨーコさんみたいな女も別に好きじゃないんでしょう。
登場人物はみんな痛みを抱えているはずなのだけれど、私がもっとも共感したのはヨーコさんにサドルをパクられた名も無き某でしたもの。それでは何とも、ねえ。
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