[コメント] 憑神〈つきがみ〉(2007/日)
世にはびこる安易な神頼み志向をくるりと捻って風刺に変える手法が粋だ。
世の機構が複雑だからか、あるいは本人に積極性が欠けるからか、くすぶった生活を送る者。にもかかわらず、あるいはそれゆえにか、ある種の清廉さだけは失わないでいる。こういうキャラクター設定は好きだ。そして、そういうキャラクターの陥りがちな最大の悪徳である<怠惰>に、徐々に陥っていく主人公が、やがてそれに気づき、自分を改めながらも、それがもたらす結果については粛然と受け止める覚悟をする在り方も。
私は、武士道だけを特別に賛美する風潮が好きでないので、これを古い価値観と割り切ってあっさり捨て去るこの映画のスタンスと同調できる部分もある。<大義に身を投じる>価値観との距離の取り方は若干違う。いずれにしても、そういった批判や誤解まで含めて受け入れようというような、原作者・浅田次郎の余裕ある態度は好ましい。
また、何故かわからんが、役者の演技というものを軽々に批判しちゃいかんな、と思わせられる趣向においても一貫していた。
80/100(07/07/17記)
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